暮らしの道具

普段使いの器の選び方は、家にある器から決める

食器棚を開けて、なんとなく足りない気がする。でも何を買えばいいのかは、はっきりしない。そういう状態でお店に行くと、目に留まった一枚を手に取って、帰ってから「これ、似たのがもうあった」となりがちです。この記事では、最初の一枚を選ぶ話ではなく、すでに家にある器に何を足すかという順番で、普段使いの器の決め方を整理します。

買い足しでいちばん多い失敗は「似た器が増える」こと

器の買い足しがうまくいかないとき、原因は好みでも値段でもなく、たいていサイズが重なっていることです。

人は自分が好きな大きさに手が伸びます。18cmくらいの取り回しのいい皿が好きな人は、次に買うときも無意識に17〜19cmを選ぶ。結果、似た皿が5枚あるのに、カレーを盛る器と、煮物の汁を受ける鉢がない、という棚になります。

もうひとつは用途を先に決めすぎる失敗です。「パスタ皿がほしい」と思って買った皿が、パスタ以外に使いにくい形だった、というのはよくあります。普段使いの器は、一つの料理のために買うより、いくつかの場面をまたげるものを選んだほうが出番が増えます。

この二つを避けるには、買う前に家の棚を見るのがいちばん早いです。

まず、家にある器を「直径」で書き出す

紙でもスマホのメモでも構いません。よく使う器だけでいいので、**口径(上から見た直径)**を測って書き出してみてください。メジャーがなければ、A4の紙を折って当てるだけでも見当はつきます。

書き出すと、多くの家でこんな偏りが見えてきます。

  • 小皿(10cm前後)と飯碗はある
  • 中皿(15〜18cm)が何枚もある
  • 大皿(21cm以上)が一枚もない、または来客用の重い一枚しかない
  • 深さのある鉢がない(サラダも煮物も汁気のあるものも、平皿で受けている)

足すべきものは、この空いているところです。好みの話はそのあとで十分間に合います。

ついでに、器の高さと重ね高さもざっと見ておくと後で効きます。棚の一段に何枚積めるかは、買ってから困る代表的なポイントです。

サイズは3cm空けて足す。1〜2cm差は「同じ器」

実際に使ってみると、1〜2cmの差はほとんど別の器になりません。18cmと19cmの皿は、盛れる量も収納の場所もほぼ同じです。買い足すなら、手持ちから3cm以上離れたサイズを狙うと、役割がはっきり分かれます。

目安として、普段使いはこの4段でだいたい回ります。

  1. 12cm前後:取り皿、副菜、漬物、果物
  2. 15〜18cm:一人分の主菜、朝食のパンと卵
  3. 21〜24cm:ワンプレート、カレー、麺類、大皿から取り分けない日の主役
  4. 深さ4〜6cmの鉢(15cm前後):汁気のあるもの、和え物、シリアル、丼まで

空いている段がある人は、そこから埋めるのが確実です。4つとも埋まっている場合は、2番と3番を2枚ずつに増やすのが次の手になります。普段使いの器は、一枚だけあっても献立に組み込みにくいためです。

和洋で分けない。見るのは「縁の立ち上がり」と「色の濃さ」

「これは和食器だから」と分けて考えると、棚の半分が眠ります。普段の食卓は和洋がまざるのが普通なので、分類ではなく形で選ぶほうが使い回せます。

見るのは二点です。

縁の立ち上がり。ふちが少し内側に立っている器は、汁気のあるものを受けられて、和洋どちらの料理も収まります。まったいらな板皿は見栄えはしますが、使える料理が限られます。最初の買い足しなら、立ち上がりのあるほうが失敗しにくいです。

色の濃さ。白い器ばかりだと食卓がぼやけ、濃い色ばかりだと料理が沈みます。手持ちが白に寄っているなら、少しグレーがかった器や、飴色・紺など落ち着いた濃色を一枚。逆に土ものが多いなら、明るく静かな一枚を足すと、両方の出番が増えます。柄物は最後で構いません。

欠けたとき、もう一枚買えるか。手入れの条件も先に見る

長く付き合う前提で選ぶなら、これがかなり大事です。普段使いの器は、いつか欠けます。割れます。そのとき同じものが買えるかどうかで、その後の食卓の続き方が変わります。

  • 定番として作り続けられているシリーズか。同じ形が長く作られているものは、数年後に一枚だけ足せる可能性があります
  • 手仕事のもの、作家のものは、同じ色・同じ寸法にはならない前提で考えます。揃えて使いたいなら一度にまとめて、一枚で成立させたいなら一枚だけ、と割り切るほうが後悔しません
  • どんなに定番でも廃番はあります。「必ず買い足せます」と言えるものはありません。だからこそ、枚数で使う器と、一枚で使う器を分けておくと痛手が小さくなります

手入れの条件も、買う前に一度だけ確かめておきます。食洗機や電子レンジを日常的に使うかどうか。土ものや粉引は、水を吸って染みや貫入が出ることがあり、それを味と見るか気になると見るかは人によります。気になるタイプの方は、**使う前に湯通しをする(目止め)**手間が続けられるかを考えてから選んだほうが、結局は長く使えます。

重さも忘れずに。片手で持って洗える重さかどうかは、毎日のことなので効いてきます。

決める順番のまとめと、実物で確かめたいこと

順番にすると、こうなります。

  1. 家の器の口径を書き出し、空いているサイズを見つける
  2. 手持ちと3cm以上離れたサイズを候補にする
  3. 縁の立ち上がりと色の濃さで、使い回せる形に絞る
  4. 買い足せるシリーズか、一枚で完結させるかを決める
  5. 重さ・手入れ・棚の高さで最終確認

そのうえで、最後の確認だけは写真では難しいところがあります。持ったときの重さ、縁の口当たり、重ねたときの高さ、光の下での色。この四つは実物に触れると一度で分かります。手に取って、いま家にある器を思い浮かべながら決められると、買い足しはかなり当たるようになります。

売場では、そういう相談の仕方をしてくださるとこちらも答えやすいです。「家に18cmの白い皿が4枚あって、深いものがない」と言っていただければ、候補はぐっと絞れます。暮らしの雑貨の売場でも、そんなふうに棚の話から始まることがよくあります。急いで決めず、手持ちを一度数えるところからで十分です。

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